リトル・バイ・リトル

0歳の女の子を育てながら暮らしています

始めての産婦人科

内診台のカーテン越し。
「うん、赤ちゃんいるよ~。」
白髪まじりの優しいおじいちゃん先生が、ごく当たり前のことのように教えてくれた。

 

この時初めて涙が出た。
内診台で足を広げながら泣いているなんて、気味が悪いな・・・。と冷静な気持ちもあったけれど、それでも涙がちょっと出た。

 

本当にちゃんといるんだ、という安堵の気持ち。やっぱり嬉しい気持ち。
まだまだどんな姿なのかも分からないし、カタチのないものだけれど、愛おしい気持ちがジワジワと溢れ出て、その温かい感情は1日中おさまらなかった。

 

内診が終わって、診察室に戻ると先生が赤ちゃんの色んな情報を教えてくれた。
今が8週目だということ。赤ちゃんの大きさが13ミリであること。予定日が7月5日であること。
普通の生活を送って大丈夫だけど、お酒は飲まないこと。しんどかったら休むこと。
次は2週間後に来てね、ということ。

 

すっかり浮かれた気持ちになった私は、帰り道に「たまごクラブ」というプレママ向け雑誌を買った。


この時はまだ、妊婦生活がこんなに自分にとって不向きな期間だとは知らずに・・・。

妊婦にとって情報過多は良くないよね

「妊娠」以降、色んな雑誌やネットから情報を収集して分かったこと。
●12週目までの流産が、全体の流産の中の9割を占めていること。
●心音が聞こえたら、1つめの段階はクリア。

 

自分の母親も祖母も初めての妊娠は上手くいかずに、赤ちゃんに会えなかった。
この話を聞いたのは、小学生とかそれくらいの時期だったはずなのに、自分が妊娠した途端その事実を思い出して「流産」という言葉に敏感になっていった。

 

あれ?何か腰が痛い気がする。
あれ?何か子宮の辺りが痛い気がする。
あれ?今日は随分とだるい気がする。
大げさだと頭のどこかでは分かっているけど、いちいち敏感に感じ取ってしまう。

そして、その都度スマホを片手に検索してしまう。
「妊娠初期 腰痛」「妊娠初期 流産 兆候」など。
当たり前だけど、ネガティブな検索ワードで検索しているのだから、引っ掛かるのはネガティブな情報ばかり。

その度に、布団の中で涙を流し、(今となってはどうかしていたと思う)
翌日には病院に行って、エコーで赤ちゃんが無事かを確認する作業を3回くらい行った。

 

幸いにも主治医の先生はとても優しい人で、
「心配だったら、いつでも見にきていいからね」と親切な言葉を掛けてくれて、
この先生の対応だけで、「あーヨカッタ」とホッとした気持ちになるのでした。

 

娘を無事に出産した今、私の後に妊娠をした友人の何人かが
「妊娠中ってお腹チクチク痛くなったことある?」とか
「つわりが急に1日だけ治まったことってある?」などの連絡を貰うことがあった。

 

そんな時はいつも決まってこう答える。
「もう覚えてないけど、あった気がするよ。心配なら病院に行くのが1番!ネットで検索して気持ちを落としたりしちゃダメだよ。」と。
実際にそんな経験なくても、大丈夫だよ!という意味合いで「あったかも」と伝えてしまう。
もちろん「出血してる」などの本当に一大事な時は、すぐに病院に行くべきと伝えるけれど。

 

今となって思うのは、妊娠期間中って周りが思っている以上に気持ちが繊細になって、ほんの些細なことにも敏感になって傷付いてしまうものだから、自分にとって気持ちが沈んでしまうような情報収集や、ネット検索はやめた方がいいです。